時限爆弾 現代ドラマ
ジャンル:現代ドラマ
タイトル:大地震の夜明け
大地震の日、私と妻の恵子は二人で家にいた。
臨月を迎えていた恵子は、そのショックで破水した。
このままでは3時間後には出産が始まってしてしまうだろう。
顔を真っ青にした彼女を私は車に運んだ。ひとまずは避難所の公民館に向かった。
1時間が経過した。
恵子は気丈に微笑んでいる。
しかし公民館に向かったのは間違いだった。道はもう車が通れる状態ではない。私は走って医者を呼びに行くことにした。
2時間が経過した。
医院は人でごったがえしていた。私は看護師をつかまえて頼み込んだ。来てくれたのは、助産婦の経験の無い看護師一人だった。
恵子の顔にはもう余裕はない。
私はなりふり構わず周囲の人々に助けを求めた。
そのとき、1人の老婆が私の前に現れた。
老婆はテキパキと私と看護師に指示を出し、恵子の手を握って元気づけた。次第に、他の避難者たちもその輪に加わっていく。長い夜が始まる。
夜明け。
一際静かな時間帯に、恵子の叫び声。それを励ます老婆の声。そして我が子の産声が避難所に響いた。